40日ファスティング経験者の本音!

ファスティング(断食)の素晴らしさやファスティングの正しい方法、効果などを紹介しています。

少食ファスティングの基礎 玄米菜食 15 玄米食の基本 06  銀シャリの誘惑  06 

脚気の解説・追加「日本大百科全書(ニッポニカ)」から引用します。

 

ビタミンB1チアミン)の欠乏による疾患で、ビタミン発見の端緒となった疾患の一つ。

発症の誘因としては、ビタミンB1の摂取量不足、吸収障害、利用障害、所要量の増大が考えられる。

摂取量不足には、絶対量の不足と、糖質(炭水化物)の代謝ビタミンB1が必要であり、

糖質の過剰摂取のためにビタミンB1が大量に消費され、相対的に不足する場合もある。

また、消化器疾患による吸収障害、肝硬変による利用障害もあり、

アルコールの過飲は吸収と利用の両面とも障害する。

さらに、甲状腺機能亢進(こうしん)症や熱性疾患のほか、

激しい運動や肉体労働によっても所要量が増大し、不足をきたしやすくなる。

夏季に多く、初期には全身や下肢の倦怠感(けんたいかん)、食欲不振などがあり、

しだいに下肢のしびれ感や知覚異常がおこり、多発性神経炎の症状が現れる。

さらに進行すると、運動麻痺(まひ)が加わり、腱(けん)反射が消失して手足に力が入らず、寝たきりとなる。

循環器系の症状として脈が速くなり、体を動かすとひどくなる。

血管は弛緩(しかん)するので、拡張期血圧は低下する。

進行すると心不全となり、放置すれば脚気衝心とよばれ、ショック状態となって死亡する。

そのほか、むくみが全身にくるが、とくに下肢に多く、指で圧すとへこんだままで元にすぐ戻らない。

治療としては、軽症なら食事療法だけでも改善するが、重症の場合は、

まずビタミンB1を5~10ミリグラム注射し、症状が好転すれば1.0ミリグラムの内服に切り替える。

予防には、偏食や過労を避け、栄養のバランスを心がけ、

ビタミンB1の含有量の多い食品(豚肉、鳥もつ、豆類、卵など)を献立に加える。

 

脚気は精白米を常食とする民族に多く発症していた。

英語ではベリベリberiberiというが、これは東南アジアの原地語に由来し、

スリランカシンハラ語で「虚弱」の意味をもつ語を二つ重ねたものである。

日本では江戸時代の享保(きょうほう)年間(1716~36)に江戸で大流行し、

当時は「江戸煩(わずらい)」とよばれ、奇病とされていた。

明治になっても脚気による死亡者は年間2万人にも達し、

政府は1877年(明治10)12月各府県に脚気の原因究明と療法の調査を命じ、

陸海軍当局も調査を始めた。

脚気の原因には細菌感染説、真菌説、魚毒説、タンパク質や脂肪の欠乏説などの諸説があった。

海軍省医務局長の高木兼寛は1882~84年(明治15~17)に海軍の遠洋航海訓練中の食事改善で

脚気の予防に成功し、またバタビアジャカルタ)の病理研究所長エイクマンも鳥類白米病を発見した。

つまり、脚気は白米摂取との関係が深く、特定物質の欠乏症状である可能性が唱えられ、

有効物質の発見に努力が続けられた。

1910年(明治43)鈴木梅太郎は特定物質の抽出に成功し、

アベリ酸のちにオリザニンと名づけた。翌年、ロンドンのリスター研究所で

フンクが同じく特定物質を純粋な形で抽出することに成功し、

ビタミンと命名、これが世界的に認められ、ビタミン発見の第一号となった。

かくて脚気の原因が判明し、治療法が確立した。

しかし、1923年(大正12)には2万7000人もの死者を出したほど日本には

典型的な脚気が多発し、結核と並び二大国民病として恐れられた。

近年は栄養改善に伴い脚気の発症は激減したが、今日でもなお散発的に報告がある。