発酵食で病気知らず 14 腸内環境 13 ガンを予防するには 08 ガン発生のメカニズム 07 デザイナーフーズ計画 08 ニンジン
「すべてを治療する万能薬」という意味です。
江戸時代、徳川吉宗が国内での栽培を奨励して
ニンジンの種子を各藩に分け与えたことから、
オタネニンジン(御種人参)の名がつきました。
ニンジンの代用品として用いられる竹節人参はトチバニンジンの根茎、
田七人参はサンシチニンジンの根です。
野菜のニンジンはセリ科で、生薬のウコギ科のオタネニンジンとは別の植物です。
ニンジンの滋養強壮効果を利用した韓国料理に、参鶏湯(サムゲタン)があります。
鳥を1羽丸ごと使い、中に高麗人参などを詰めて一昼夜煮込んだもので、
食べれば病気知らずといわれています。
ニンジンの効果と効能
古書ではニンジンについて、「五臓を補い精神を安らかにし、
魂魄(こんぱく)を定めて驚悸を止め、邪気を払い、
目を明らかにして心を開き智を益す。
長く服用すれば身を軽くし寿命が延びる」と記載されています。
胃腸系・呼吸器系を活性化するために欠かせない薬です。
生体の持つ恒常性を保持して、免疫機能を高める効果があります。
強壮強精・消化促進・下痢止め・精神安定・血糖降下・強心・保温・抗疲労など
幅広い効能が期待できる、漢方の最要薬の一つです。
ニンジンの有効成分
疲労の回復・記憶過程の改善・抗ストレス・消化管運動亢進・ストレス性胃潰瘍抑制・
高血糖の改善・抗アレルギーなどの作用が報告されています。
ニンジンはアルコールと相性がよいことでも知られ、
人参酒は疲労回復や病気予防に日本や韓国で古くから愛用されています。
ニンジンに含まれているのは、主にβカロテン(ビタミンA)、カリウム、
食物繊維など。βカロテンは、体内に取り入れるとビタミンAに変化し、
目や皮膚を健康に保つ働きがあります。
また、カリウムには体内の余計な塩分を輩出する働きがあり、
血液の循環を良くする効果。
そして、食物繊維には、便秘の解消や、
腸の働きを活性化させてくれる役割があります。
ビタミンKは、止血因子を活性化させたり、骨の形成をうながしたりと、
健康維持に欠かせない栄養素です。
葉酸は、赤血球の形成補助や、胎児の正常な発育を助け、
脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐ効果があるとの研究結果もあるようです。
便秘で悩む方なら、食物繊維は欠かせませんし、アンチエイジングや、
きれいな肌のためには、ビタミンやカリウムの働きも見逃せません。
なんといっても、ニンジンはカロリーの低い根菜で水分も豊富。
乾燥や肌荒れにお悩み中なら、ぜひ、積極的に食べていきたい野菜のひとつです。
ニンジンの民間療法
にも触れておきましょう。生のニンジンを摺りおろして
しぼり汁を飲むと気管支の粘膜が炎症を起こしていたり、
咳が出るのに効くそうです。
眼精疲労にもよいです。
「人参を掘り横抱きに風の音」とあるように、
身近な野菜だから子どもたちにもたくさん食べさせたいものです。
ちなみに薬用人参の主成介はパナクスサポニンと
パナセチンという配糖体で野菜の成分とは違います。
いまでも冷え症や胃腸の弱い人の適剤といわれ、
六君子湯や人参湯などの漢方薬に配合されて盛んに使われています。
ただし虚証タイプ(虚弱体質)にしか効かない薬だから、
決して万能薬とはいえないのです。