発酵食パワー 04 発酵と発酵食品 03 甘麹
炊いた白米または糯米(もちごめ)と米麹、湯を混ぜ、
一定の温度を保ちながら発酵させたものです。
甘糀とも表記。
甘酒のもとであり、甘味とうま味を加える調味料としても使われています。
米のデンプン質が米麹に含まれる酵素の作用によって糖化され、
ブドウ糖に変化するため、加糖しなくても甘いのです。
必須アミノ酸、パントテン酸、ビタミンB1、B2、B6などの健康の保持に欠かせない
貴重な栄養素に富んでいます。
塩麹ブームに続き、健康的な調味料として人気が出ています。
甘麹は家庭でも簡単につくることができます。
米を炊き、米の半分から等量程度のぬるま湯を加えて60℃程度に冷ます。
そこに米と同量の米麹を加えて混ぜ、炊飯器に入れて保温状態にし、
50℃から60℃に保ったまま6時間から10時間程度寝かせれば、糖化が完了します。
完成したら、そのまま冷蔵保存するか、一度煮立たせて殺菌するとよいでしょう。
甘酒には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、食物繊維、オリゴ糖や、
そして大量のブドウ糖が含まれています。
ブドウ糖以外の成分は原料米とのコウジカビ属に由来しますが、
これらの栄養はいわゆる栄養剤としての点滴とほぼ同じ内容であることから、
「飲む点滴」といわれています。
発酵食文化研究家によると、特にブドウ糖は目が覚める朝、
空腹時に何かと一緒に摂取すると血糖値が上がるので効果的であるという。
冬季では体が温まるようにあるいは風邪の予防として甘酒を熱くし、
夏季はさっぱりと飲めるようにショウガ汁を入れて飲まれています。
法的にはアルコール分が1%未満であればアルコール飲料ではなく
ソフトドリンクとして扱われ、未成年者でも飲用が許されます。
ただし、酒に弱い人(特に幼児)や妊婦が大量に飲むと酔う可能性があることには
特に注意すべきです。
作り方
・麹を使用する製造方法
米こうじと米を原料とする。150gの米、3合の水で作った粥を
50 - 60°C程度に保温し、200gの米こうじを混合、撹拌し、
1晩(10 - 12時間)程度かけてコウジカビ由来の酵素(アミラーゼ)によって
デンプンを糖化することで甘味を得ます。
古く「一夜酒」と呼ばれたのはこの製法から来たものであります。
冬でないと酒を造れない酒蔵が夏の副業に手掛けていたともいいます。
糖化の過程では、コウジカビのアミラーゼによる糖化のほか、
プロテアーゼによるタンパク質のアミノ酸への分解や、
場合により混入乳酸菌による乳酸発酵も進行します。
コウジカビの許容限度以上に温度が高すぎると酵素が充分に作用せずに
糖化が進まず甘味が乏しくなります。
逆に温度が低すぎると混入した菌による乳酸発酵が進行しすぎ、
出来上がる前に他の雑菌も繁殖してくるので、
酸味や問題ある雑味が強く風味が損なわれます。
なお、混入酵母があった場合、進行したアルコール発酵の程度に応じ、
アルコール(通常は極微量)を含むことになります。
65°Cの温度で23秒間加熱すれば一般的な乳酸菌を
不活化できることが知られているため、
前述のように50 - 60°C程度に長時間保温します。
本来は米由来の糖分で十分に甘いので
(通常、多くの甘酒・酒は加水をして糖分を調整して販売されている。)、
砂糖を加えない。