健康リスクマネジメント 113 病気を予防する 07 肥満 07 なぜ肥満になるのか 03 肥満遺伝子の発見で分かったこと
ではヒトはなぜ太ってしまうのでしょうか。
現代人の肥満は、食べすぎ、運動不足に加え、食べ方の異常、(摂食パターンの異常)、
遺伝的体質、さらに食事や運動をした後や体温を一定に保つために、
体は生理的に熱を発生しますが、
この働きが低下している場合(熱産生障害)などが原因になっています。
さらに、最近のライフスタイルの急激な変化が、
大きく影響しているのはいうまでもありません。
食べすぎると、当然のことですが、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回って、
残りは貯蔵に回ってしまいます。
イライラしたり、いつも不安感がある場合、それから逃避したいために、
つい食べすぎてしまいがちです。
運動が不足すれば、消費エネルギーが減り、普通量の食事でも太る原因になります。
肥満者の行動パターンには、
なにかをしながら無意識のうちにたくさん食べてしまう“ながら食い”のほか、
“早食い”のため満腹感を覚えにくい、
いつも手の届くところにお菓子などを置いている-といった特徴があります。
1994年に「肥満遺伝子」が発見され、
体内に大量の脂肪を蓄積する能力は遺伝することがわかってきました。
この遺伝子を持つ人が、
食べすぎ、運動不足、摂食パターンの異常などの生活習慣になじんでしまった時に、
肥満になると考えられています。
肥満が生活習慣病の1つに挙げられているのは、こうした理由からです。
現在、肥満の原因は「遺伝3に対して環境7」とされていますから、
生活習慣のゆがみをまず正すことがより大切です。
現代の高度情報化社会では、
しばしば不規則な生活を強いられる場合が増えてきました。
不規則な生活によって、自律神経のバランスが崩れ、
肥満になりやすくなりますから、この点も要注意です。
自律神経のバランスが崩れると、
体内の脂肪の燃焼と貯蔵をコントロールしている交感神経の働きが低下し、
脂肪が燃えて熱に変わる機能が落ち、やせにくくなるため、
結果として肥満の原因になるのです。
肥満は生活習慣病だと、日頃から認識しておくことが重要です。
たとえ遺伝的に肥満体質であっても、肥満は必ず予防できるからです。
太り始めるきっかけが必ずあります。
生活環境ががらりと変わった時が要注意で、女性では、
結婚、妊娠、出産、閉経などホルモンバランスの急激な変化が、
男性の場合は、仕事上のストレス、転勤(単身赴任)など職場環境の変化が、
きっかけになりやすいのです。
ライフスタイルが変わったことも見逃せません。
欧米型ファーストフード店が増え、
高たんぱく・高脂肪・高塩分の食事をとる機会が多くなったこと、
コンビニエンスストアの普及による“24時間型食生活”の日常化、
自動販売機の普及、慢性的な運動不足、精神的ストレスと
現代の暮らしには肥満を招く要因がそろいぶみの状態です。