少食ファスティングの基礎 玄米菜食 96 玄米食で病を癒す 17 がんを改善する玄米食 17 アメリカはなぜガンが減っているのか
高齢化が進むにつれてがんに罹る人が増え、医療が追い付いていかない。
その結果、がんで死ぬ人が増えていきます。
しかし、それだけでは説明がつかない事実があります。
考えてみれば、日本では特に急速に進んでいるとはいえ、高齢化は欧米諸国でも問題となっています。
65歳以上の高齢者が総人口に占める割合を示す高齢化率を見ると、
日本は世界1位で24・4%。アメリカは13・63%(世界41位)と低めだが、
ドイツは21・1%(同2位)、イタリア20・82%(同3位)、フランス17・47%(同16位)など。
高齢化しているのは同じだが、ドイツ、イタリア、フランスではがんの死亡数は増えていないのです。
アメリカでは、がんなどの現代病が増え続けて
国家の財政を圧迫していることが1970年代から問題視されていました。
それで当時のフォード大統領が、栄養問題特別委員会を設置し、
国民の栄養と病気の関係を徹底的に調査させました。
その結果、現代病は薬では治らない。
がんを減らすには食事の内容を変えなくてはいけない、ということがわかったのです。
それを受け、FDA(アメリカ食品医薬品局)や米国国立がん研究所が、
健康のための数値目標を設定したり、
がん予防に効果があると言われる食べ物の作用の研究を進めるようになりました。
その国家プロジェクトの成果が実って、
'92年以降、増え続けていたがんの死亡数が減少に転じたのです。
アメリカで食生活の改善でがん死亡数が減少、といわれても、どうも腑に落ちない。
日本人からしてみれば、現在でも肉食中心の欧米人よりは
健康な食生活を送っているはずではないのかと思いますが、それは大きな誤解なのです。
現代の日本人は、自分たちが思っているほど健康的ではありません。
食生活の欧米化が進み、肉の摂取量は50年間で約10倍、脂肪分は約3倍にも増えました。
逆に野菜や果物の消費量は減り、米国を下回っているのです。
日本人は運動量も少ないし、いまでは多くの米国人のほうが健康的な食生活を送っているとすら言えます。
そもそも日本人と欧米人は体質が異なるので、同じ食事を摂っていても、
日本人のほうが糖尿病になる確率が高いのです。
糖尿病になると、インスリンというホルモンの血中濃度が高まりますが、
これにはがん細胞の増殖を促す作用があり、発がんリスクが2割ほど高まることがわかっています。
高齢化に加え、生活習慣の要因が重なって、がん患者が増えたのですが、
どうもこれだけではなさそうで、日本人はがん検診の受診率が驚くほど低いのです。
たとえば子宮頸がん検診の受診率は、日本では30~40%ですが、
米国では84%。検診で見つかるような早期がんは、9割以上が治ります。
それが、進行してから見つかれば、がんによって命を落とす人が増えてしまうのは当然のことなのです。