40日ファスティング経験者の本音!

ファスティング(断食)の素晴らしさやファスティングの正しい方法、効果などを紹介しています。

健康リスクマネジメント 159 病気を予防する 45 予防医学の基本 34 酒の害 18 アルコールと糖尿病   

アルコールはアルコールそのもの作用やアルコールの代謝に伴って血糖値に影響を与えます。

適度な飲酒は糖尿病の発病に抑制的に働く可能性が推定されています。

しかし多量飲酒は発病の危険性を高め、

特に肝障害や膵障害が加わるとコントロールが難しい糖尿病になるため、

糖尿病患者さんは多量飲酒は避けるべきです。

血糖コントロールが良好で合併症がない場合は、

酒肴(つまみ)や飲酒量に注意した適度の飲酒であれば良いと考えられています。

原因は明らかではありませんが、適度な飲酒は糖尿病の発症を抑制し、

多量飲酒は発症を促進する可能性が、

20の大規模なコホート研究のメタ解析で報告されています。

血中に含まれるブドウ糖が空腹時126mg/dl以上、もしくは

75gOGTT2時間値200mg/dl以上、もしくは随時血糖値200mg/dl以上が2回以上確認されるか、

または1回だけの確認に加えて口渇・多飲・多尿・体重減少などの存在があるか、

血液検査でHbA1cが6.5%以上もしくは糖尿病網膜症が存在すると糖尿病と診断されます。

血糖コントロール不良が続くと眼や末梢神経・腎臓などに障害を起こし、

脳血管障害・虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患も引き起こします。

通常身体に取り込まれた糖質は、ブドウ糖に分解されて吸収され肝臓に運ばれます。

そして血液を介して全身に運ばれてエネルギー源となり、

余ったブドウ糖は再び肝臓に運ばれてグリコーゲンとして肝臓に貯蔵されます。

この糖代謝に重要な役割を担うのが膵臓から分泌されるインスリンです。

インスリン分泌が不足すると、

ブドウ糖がエネルギー源として利用したり肝臓に貯蔵しにくくなり、

血液内にブドウ糖が基準値以上の高濃度で流れることになります。

このような状態が糖尿病予備軍の耐糖能異常や糖尿病です。

糖尿病は、免疫異常や特発性に膵(すい)臓のインスリンを分泌するβ細胞が破壊されて

絶対的にインスリンが欠乏する「1型糖尿病」と、

過食や運動不足・肥満からインスリン分泌低下やインスリン抵抗性となり

相対的にインスリンが不足する「2型糖尿病」があります。

アルコール性膵炎を繰り返すと、膵β細胞が破壊されインスリン分泌が低下して

糖尿病を併発します。

この膵性糖尿病では、血糖値を下げる

インスリンとバランスをとって血糖値を上げるグルカゴンの膵分泌も低下するので

血糖値が変動し低血糖も起こしやすく、

血糖コントロールが不安定な糖尿病になります。

またアルコール性肝硬変では、ブドウ糖を肝臓に貯蔵しにくくなることに加え、

肝臓で分解されるインスリンが過剰に残って慢性高インスリン血症となり、

その結果インスリンの効き目が低下するインスリン抵抗性も加わって

肝性糖尿病が発症します。

しかし膵炎や肝硬変のない常習飲酒者でも耐糖能異常をしばしば認めます。

アルコールは肝臓内でのグリコーゲンからブドウ糖への分解を亢進させ、

飲酒後に一過性に血糖値を上昇させます。

また飲酒時の脂質やたんぱく質の多い酒肴による

カロリー摂取過多が高血糖を助長します。

一方でアルコールは低血糖発作を引き起こすことがあります。

特にアルコール依存症者でしばしば見られますが、

食事を十分にとらずに飲酒すると低血糖になります。

それは食事量低下のため肝臓のグリコーゲンが減少しており、

さらにアルコールの代謝に伴う種々の代謝経路の変化により

糖新生(グリコーゲン以外から糖を産生する)が抑制するためです。

またインスリン注射や経口血糖降下剤などでの薬物治療中には、

さらに低血糖を来たしやすいので、食事をとらずに飲酒することは厳禁です。

酒肴なら低脂肪で高たんぱく質なもの(豆腐・枝豆・イワシ・鶏肉など)が良いでしょう。

アルコールはアルコールそのものの作用の他に、

アルコールの代謝・肝障害・膵障害・飲酒時の食事摂取量の乱れなどの様々な因子を介して、

糖尿病コントロールを困難にさせます。

血糖コントロールの不良は糖尿病合併症の危険性を高めますが、

多量飲酒家ではアルコールの神経毒性とも重なるため、

糖尿病性末梢神経障害を特に早期から悪化します。

糖尿病患者の飲酒は、飲酒が食事療法の乱れの原因や

インスリンや経口血糖降下剤使用中では低血糖の誘因にもなることが多く、

このような場合はできるだけ飲酒は避けるべきですが、

食事療法や運動療法で血糖コントロールが良好で合併症がないなどの場合には、

適度な飲酒(男性で純エタノール換算1日20g以下・女性でその半量以下)は

しても良いとされています。

 

厚生労働省e-ヘルスネットから引用