発酵食で病気知らず 17 腸内環境 16 ガンを予防するには 11 デザイナーフーズ計画 11 茶
ちょっと一息ティータイム、みなさんは
]毎日どのようなお茶の種類を何杯くらいお飲みになっていますか。
緑茶、ウーロン茶、紅茶、ジャスミン茶、蓮茶、ハーブティー、柿の葉茶、
この他にも、たくさんの種類があります。
その味も相当な種類があり、みなさんそれぞれ好きな味を
そのときの気分で選んで飲まれていることでしょう。
これらのお茶の成分は、それぞれにいろいろな効能効果があります。
最近では、お茶だけでなく食品は、
その成分の効能効果も分子レベルまでわかるようになり健康維持、病気予防そして、
病気治療にまでその成分が役に立っています。
以前は、食品の成分は、3大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)、
5大栄養素(3大栄養素+ビタミン+ミネラル)、
7大栄養素(5大栄養素+水、食物繊維)までが主流でしたが、
現在はファイトケミカルという
主に植物に含まれる機能性成分も評価されるようになりました。
ファイトケミカルは栄養素ではありませんが、
人体にとって抗酸化作用、免疫増強作用、がん抑制作用などを持ち健康維持、
病気予防、病気治療に大きく関わってきています。
私たち日本人にとって一番なじみのある緑茶について書いてみたいと思います。
緑茶の成分が体にいいお話はみなさんもいろいろとご存知と思います。
特に、がんの患者さんにも緑茶の成分が栄養療法の中に取り入れられています。
私たち日本人には、緑茶が治療? というのはピンとこないかもしれません。
私たち日本人は、基本的に緑茶は飲むものと認識しています。
海外で薬局を見て歩きますと、緑茶のサプリメントをよく目にします。
緑茶はお茶として入れて飲む効果とお湯で
抽出できない成分を食べることで得られる効果と両方持ち合わせています。
まずは、緑茶中の有効成分カテキンです。
このカテキンががん患者さんの栄養療法において評価されているのは、
がんの発生や成長の抑制メカニズムに効果を発揮できるからです。
①発がん(遺伝子の突然変異)の抑制、
②がん成長促進の抑制、
③がん細胞アポトーシス(自滅死)の促進、
④がん転移抑制、
⑤がん組織での血管新生抑制などです。
がんが成長していくときに、がん細胞によって新しい血管が形成されます。
血管新生が、すべてのがんの成長に重要な必要条件なので、
その新しい血管が形成されるところに対抗してくれる
最もパワフルな成分の1つが緑茶のカテキンなのです。
緑茶の多量飲用ががんを予防することは、動物実験だけでなく、
臨床介入試験でも証明され、世界で広く認められています。
これまでの研究から、
1)緑茶カテキンが、多様な臓器のがんにおいてがん幹細胞性を抑制すること。
EGCGあるいは緑茶エキスが、
併用によって抗がん剤の効果を増強すること等が明らかになっています。
私共は、原子間力顕微鏡を用いた生物物理学的な研究から、
緑茶カテキンががん細胞の膜を硬化し、
その結果、受容体チロシンキナーゼである
EGFRやAXL等の活性化を抑制することを見出しました。
この細胞膜硬化作用が、
緑茶カテキンのミラクルな薬効をもたらしていると考えています。
最近、緑茶カテキンの処理が、EGFやIFN-γによって誘導される
免疫チェックポイント分子PD-L1の発現が抑制し、
細胞障害性T細胞(CTL)の活性を回復させることを見出しました。
すなわち、緑茶カテキンは免疫チェックポイントによって
抑制されたCTLの活性を回復して抗腫瘍免疫を活性化することが分かってきました。
多様な抗がん効果を持つ緑茶カテキンを活用し、
革新的ながん治療へと発展させたいと考えています。