健康リスクマネジメント 120 病気を予防する 15 予防医学の基本 04 ストレスと胃炎
消化に必要な「胃酸」と、胃粘膜を守る「胃粘液」の分泌量はバランスよく保たれており、
胃酸によって胃粘膜が荒れるということはありません。
しかし、さまざまな原因で胃酸が過剰分泌したり、胃粘液の分泌量が減ったりすると、
胃粘液が胃粘膜を守り切れず、胃を傷めて胃炎を起こしてしまいます。
胃酸の過剰分泌の要因として、
①睡眠不足などの生活の乱れ
②暴飲暴食
③喫煙、アルコール・カフェインなどの刺激物の摂取
④仕事・家事・育児などによるストレスが挙げられます。
胃などの消化器官の働きは自律神経(交感神経と副交感神経)が関わっています。
ストレスによる刺激が、脳から「副交感神経」をとおって胃に伝えられ、
過剰な胃酸分泌をうながし、さらに胃の蠕動(ぜんどう)運動を促進します。
ストレスによる刺激は、もう一方では脳から「交感神経」にも伝わり、
胃の血管を収縮させ、血流を減らし、胃の粘液の分泌を減少させます。
つまり、ストレスを受けた胃は、
血液循環や粘液分泌が減少して胃粘膜の抵抗力が弱まり、
逆に、胃を攻撃する胃液(胃酸)の分泌が増えた状態になります。
その結果、胃に炎症や潰瘍が起こり、胃痛となるのです。
胃粘液の分泌を減少させる要因のひとつとしては、
解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)の常用が挙げられます。
そして胃炎の主な症状
1・急性胃炎
一般的なストレスや刺激物が原因で、胃粘膜が急性的な炎症を起こした状態。
みぞおちがキリキリ痛んだり、食欲不振・吐き気などの症状があります。
2・慢性胃炎
約8割はピロリ菌の感染が原因といわれています。
胃もたれ・胃痛・胸やけ・げっぷなどの症状が1ヶ月以上続く場合もあります。
3・神経性胃炎(ストレス性胃炎)
長期間のストレスが原因で、日本人の4人に1人が発症するともいわれています。
気分がふさぐ・のどがつかえる・胃痛・胸やけなどの症状があります。
さらに、過剰な胃酸分泌で胃や十二指腸の粘膜がえぐられたような状態になると、
胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症します。
どうしてストレスで胃酸が過剰分泌するの?優位になるときがあり、
この反動時に胃酸が一気に分泌されてしまうためと考えられています。
胃はストレスに弱い臓器です。
そのため、できるだけストレスを溜めないよう、適度な運動をしたり、
しっかりと休息をとることが大切です。
市販の胃腸薬には、胃酸分泌を抑える「H2ブロッカー」、胃液を中和する「制酸剤」、
胃粘膜を保護する「胃粘膜保護剤」、胃の緊張を緩める
「鎮痛鎮痙ちんけい剤」等があります。