健康リスクマネジメント 97 病気の方程式 88 身近な感染症 08 内なる脅威ウイルス 06 コロナ禍はいつ収まるのか、山中教授が出した答え 02
ただし、感染者をゼロに封じ込めた状況とはなっていません。
ピーク時は1日に1000人以上の新規感染者が発生していましたが、
3月中旬から100人未満となり、
下旬には1日の新規感染者数が10人から20人台の日が続いていました。
ところが、3月末から再び100人を超える日が増えてきたのです。
中国政府は人民に対して厳しい外出規制を課してきましたが、
3月に入ってから状況に応じて都市ごとに規制を緩めました。
その結果、週末になると商業施設や観光施設が混雑するようになりました。
感染の第2波がやってくるリスクが、ひたひたと高まっているのです。
WHOの基準ではウイルスの潜伏期間の2倍の期間、
感染者が新たに発生しなければ終息宣言となります。
新型コロナウイルスの潜伏期間は2週間とみられていることから、少なくとも4週間、
感染者数がゼロにならない限り、ウイルスとの闘いは終わりません。
独裁的な中国共産党をもってしても、感染者数をゼロにするのは至難の業です。
21世紀の世界では、人の往来を完全にシャットアウトすることは誰にもできません。
つまり非常事態宣言を出して感染拡大の第1波を乗り越えられたとしても、
新型コロナウイルスを完全に封じ込めるには
相当長い期間がかかるのは(残念ながら)間違いありません。
山中教授が「1年は続く」と指摘したのは、感染力の極めて
高いSARS-CoV-2ウイルスの本質を見抜いているからです。
効果的なワクチンや治療薬も開発できるでしょう。
ただ、その未来がやってくるには年単位の時間がかかります。
それまでの間、私たちは医療崩壊を防ぎながら、
何とかしのいでいくしかありません。
山中教授は、ウイルスとの闘いをマラソンに例えました。
もはや、長期戦で臨むことを覚悟するしかありません。
追加
中国に関して間違いなく言えるのは、
感染防御に向けて世界のどの国よりも厳しい措置を取っているということ。
(4月8日に76日ぶりに封鎖が解除される予定)。
北京や上海など国際都市も含め、
海外から来た人は外国人であっても強制的に2週間隔離しています。
スマートフォンの位置情報を使って、
感染の疑いのある人が今どこにいるかを示すアプリまで登場しました。
先進国であればプライバシーの侵害だと大問題になるのは必至です。
そうした批判も顧みず強権を発動できるのが中国という国であり、
感染防御という側面ではそれが効果的に働いたことは事実です。
中国でも感染拡大の「第1波」を乗り越えられただけ
では、中国は新型コロナウイルスを克服できたのでしょうか。
中国では感染のピークが過ぎたことが分かります。