クリスチャンドクター・日野原重明の生き方、死に方 03
先回、書きましたように100歳以上で男性は
わずか1割、1:9の差で女性の圧倒勝ちです。
なぜ男性だけ早死にするのかを追求しますと男性の孤独問題とつながります。
日本の「孤独死」が問題となって久しいのですが、
本当は「孤独によるところの死」が正しいのです。
つまり社会的なつながりの持つ人は、
持たない人との比較で50%の早期死亡リスクが減るという研究結果が出ています。
孤独による健康への悪影響は、うつ病、統合失調症、薬物、アルコール依存。
また心臓病、血管疾患、ガンなどあらゆる病気のリスクが増大します。
その医学研究は世界的に進み、
1・孤独は冠動脈流生の心疾患リスクを30%アッ王、心臓発作は32%アップ
2・孤独な人はそうでない人の20%の速さで認知機能が衰える
3・孤独度が高いとアルハイマーのリスクは2倍以上アップ
4・孤独な人は日常生活の大きな支障をきたす
孤独はなぜこのようなリスクをともなうのでしょうか。
それは一度、孤独になると自己保身にギアが入り、まず免疫力が大幅に落ちます。
そして人とつながることを恐れ、
何とか一人で生きていくほうが安全だと閉じこもりになります。
つまり人間関係のストレス耐性が喪失していきます。
「孤独を楽しむ」とか「孤独が好きだ」と言う問題ではなくなるのです。
毎日の食事管理、禁煙、禁酒、ウォーキングなどの
健康管理をしていてもそれらの健康をすべて吹き飛ばすのが「孤独」であり、
その孤独度は先進国で日本が最悪なのだということを
日本の政府が自覚していないという最悪の状態です。
なぜ日本が最悪なのかといいますと日本の生涯未婚率が毎年、増加しています。
東京オリンピック開催の2020年には、
女性の17.4%、男性の26.0%が生涯独身。
つまり男性の3人に1人。
女性の4人に1人が生涯独身者なのです。
そして2035年には、37.2%が一人暮らしの世帯になるといわれています。
そして更に深刻な孤独さは世界最悪の社会的孤独さです。
欧米ではキリスト教会やスポーツ、ボランティアなど社会活動で
3つ以上のサークル、グループ活動をしていますが、
日本の平均は、0.8%と1/4以下です。
そして最も信頼すべきは妻だけという中高年男性も日本は断トツに多く、
家族に極端に依存して、
家族以外の関係を形成するソーシャルキャピタル(社会関係資本)が
先進国どころかOECDの中でも最悪の数字です。
ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは、人間の豊かさを示す指標で
1・隣近所、知人、親戚、職場の同僚、付き合い
2・そうした人たちとの期待と信頼
3・地域活動のNPO、ボランティア、市民活動
この3つが豊かになればなるほど疾病リスクが低くなり、
健康になるということです。
しかし、日本はこのソーシャルキャピタル(社会関係資本)数値が世界で101位なのです。