少食ファスティングの基礎 玄米菜食 110 玄米食で病を癒す 31 がんを改善する玄米食 31 玄米の抗がん作用 05
国立がんセンターの「細胞ががん化する仕組み」について②
ある遺伝子に傷がついたときに、細胞増殖のアクセルが踏まれたままの状態になる場合があることが知られています。
このような遺伝子は、がん遺伝子と呼ばれています。
多くの場合、がん遺伝子によってつくられるタンパク質は、正常細胞も増殖をコントロールしていますが、
その働きが異常に強くなることにより、細胞増殖のアクセルが踏まれたままの状態になります。
例えば、「myc」と呼ばれるがん遺伝子の場合、1個の細胞あたりの遺伝子の数が増えることにより、
「myc遺伝子」によりつくられるタンパク質が増えすぎて、
際限ない細胞増殖を引き起こすことがわかっています。
また、「ras」と呼ばれる一群のがん遺伝子は、
特定の場所に傷がつくと働きが過剰な状態になり、
やはり際限ない細胞増殖を引き起こすと考えられています。
このようにがん遺伝子の変化は、特定のタンパク質の働きを異常に強めることにより、
がんにつながる増殖異常を引き起こします。
したがって、そのタンパク質の作用をうまく抑えるような薬を見つければ、
細胞ががん化することを防いだり、すでにできているがんの増殖を抑えたりすることができます。
がん遺伝子が車のアクセルとすると、そのブレーキにあたる遺伝子が、がん抑制遺伝子です。
がん抑制遺伝子は細胞の増殖を抑制したり、細胞のDNAに生じた傷を修復したり、
細胞にアポトーシス(細胞死)を誘導したりする働きをします。
DNAの傷が蓄積するとがん化に結びつくので、修復が必要です。
異常細胞が無限に増殖しないように、異常を感知して、その細胞に細胞死を誘導することも必要です。
このように、がん抑制遺伝子はブレーキの働きをしていると考えられます。
これまでの研究から、いくつかのがん抑制遺伝子が発見されましたが、
代表的なものは「p53遺伝子」、「RB遺伝子」、「MLH1遺伝子」等が知られています。
それぞれ細胞死の誘導、細胞増殖の抑制、DNAの修復に重要な働きを持つことがわかっています。
遺伝子の傷はDNAの傷を意味します。
ヒトの細胞の中にはDNAが存在し、そこにわれわれの遺伝子が暗号として記録されています。
遺伝子突然変異とは、この遺伝子の暗号に間違いが生じることを意味しています。
タバコ、食物の焦げ、紫外線等、さまざまな外的要因(発がん要因)が
遺伝子突然変異を引き起こすことがわかっています。
もう少し詳しく説明すると、DNAはG、A、T、Cの4種類の文字の組み合わせでできています。さまざまな発がん要因により、これらの文字に間違いが生じると突然変異が起こります。がん遺伝子やがん抑制遺伝子を記録したDNAに間違いが生じた場合、がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活性化が起こります。