ヒルデガルトファスティング 13 現代に生きるヒルデガルト 09 霊のうちに神の意思の幻視を見る
ヒルデガルトも眠りの内とかまどろみのなかで
とか法悦状態で受けたのではなく、体の目、耳でもなく、
隠れた場所でもなく、目覚めていながら、人間の眼と耳で内的に見たのです。
つまりヒルデガルトは「霊のうちに神の意思で露な場所で幻視を受けた」といいます。
そして引き続きこういいます。
・・・それはどのように行われたのでしょうか。
肉体的な人間には、これを知ることは困難です。
実のところ私は若い時代を終え、十分な力を備えた成熟期に達していましたが、
天の声が次のように語るのを聞きました。
「私は闇の中にあるものを照らす命の光である。
私が望み、気に入るまま、
驚くほどに大いなる神秘の内に導入れた人間（注・01）がいる。
私はその者を私の内にある多くの秘密を
見ることのできた古い人たちの上（注・02）に立てた。
しかし、あまり高ぶらないように地に倒した（注・03）。
その者は世に喜びも楽しみも見なかったし、
自分のものでも世に属するものを使用することもなかった。
私がその者（ヒルデガルト）から血気と強情を取り除き、
臆病で、苦しみにおののくまにさせたからである。
事実、その者（ヒルデガルト）は、肉体の骨の髄まで苦しみ、
精神と感覚はこわばり、病苦にさいなまされ、
その結果、自らのうちに何の安定もなく、
自分のすべてのことに罪責を認めるほどであった。
私はその者が高慢、あるいは高ぶることなく、あらゆる事柄に喜びと有頂天よりも、
恐れと苦しみを感じるように心を荒れるままに打ち捨ておいた。
それゆえ、その者は、私への愛によって、魂の内に救いの道を開くものを求めた。
そしてある人物（注・04）を見つけ、愛した。
秘の内に導入れた人間（注・01）
当然、ヒルデガルト自身のことを指しています。
まさに神の選びなのだということです。
古い人たちの上（注・02）
旧約聖書に出て来る預言者たちのことで旧約の預言者たちは下記の人物。
A・三大預言者
イザヤ、エレミヤ、エゼキエル
B・十二の小預言者
ホセア、ヨエル、アモス、オバデヤ、ヨナ、ミカ、ナホム、ハバクク、ゼファニヤ、ハガイ、ゼカリヤ、マラキ
地に倒した（注・03）
ヒルデガルトの幼い頃からの体の病気を指す。
ある人物（注・04）
フォルマール修道士で、1165年に召されるまで、
ヒルデガルトの忠実な筆記者であり、相談役となった。
