エシカルとサステナブル/SDGsとの関係 02 フェアトレード
エシカル(ethical)とは、直訳すると「倫理的な」という意味になります。
実際には「エシカル消費」という形で使われたりすることが多いのです。
エシカル消費とは、地球環境はもちろん、
人や社会に配慮された商品のことやその商品を購入したりすることを指します。
サステナブルな社会の実現のためにその考え方がとても役に立ちます。
例えば、「フェアトレード」(注・01)。
これはエシカルと関係が深い言葉のひとつで、「公平・公正な貿易」という意味です。
フェアトレード商品には、国際フェアトレード認証ラベルが付きます。
フェアトレード商品を購入することは、
発展途上国の労働者にとってより公平で働きやすい
労働環境の実現を目指す取組みに貢献することにつながります。
つまり、社会環境の改善の一助になるということです。
★チョコレートで見る「エシカル」な考え方
わかりやすい一例として、チョコレートで考えてみましょう。
私たちが普段食べているチョコレートの原料のカカオなど、
多くは発展途上国で作られています。
実は、その背景には低賃金労働や児童労働、男女差別といった、
整っていない労働環境があります。
この“整っていない労働環境”の背景には、経済的貧困が大きな原因としてあります。
国際的なフェアトレードの基準では、生産者が適正な対価を得られるよう、
持続可能な生産と生活を支えるフェアトレード価格が設定されています。
生産者が適正な収入を得ることができれば、
低賃金労働や児童労働といった労働環境が改善されることにつながります。
そこで、消費者としての私たちが、積極的にフェアトレードにより
作られた製品を購入することで、
遠く離れた国の生産者にも適正な代金を支払うことの助けとなるというわけです。
こうした、自然環境だけでなく労働や男女などの社会環境にも
配慮されつくられたモノを選んで購入することが「エシカル消費」になります。
「フェアトレード」(注・01)
発展途上国の農産物や雑貨などを、適正な価格で継続的に輸入・消費する取り組み。低賃金労働を強いられる傾向のある途上国で雇用を創出し、途上国の貧困解消や経済的自立を促すねらいがある。日本では「公正な貿易」「オルタナティブ・トレード」などともよばれる。第二次世界大戦後、東欧諸国の経済支援を目的に西ヨーロッパで始まったとされる。1960年代に入ると、イギリスに「トレードクラフト」、ドイツに「ゲバ」といった民間フェアトレード専門団体が誕生し、アフリカ・アジア諸国への支援が本格的に始まった。世界フェアトレード機関World Fair Trade Organizationなど数多くの国際団体も発足し、団体や商品への認証制度もスタートした。社会的貢献活動の一環として、フェアトレードに積極的に協力する企業も出ている。日本では1986年(昭和61)に、プレス・オールターナティブ・グループが「第3世界ショップ」を設立し途上国の民芸品や食品を輸入する活動を開始した。これを契機に生活協同組合や環境団体などを中心にフェアトレードが広がった。欧米のフェアトレードがコーヒー豆など食品や原材料を中心に発展してきたのに対し、日本では衣料品や雑貨の比率が高く、加工工程を必要とする分、経済支援効果が大きいとみられている。ただ国民生活白書によると、2007年(平成19)の日本の認定フェアトレード製品の売上高は10億円と、アメリカ(1178億円)やイギリス(1136億円)を大きく下回る。フェアトレードの普及は、WTO(世界貿易機関)を中心とする貿易自由化の流れに取り込まれた発展途上国や最貧国を、市民など草の根のレベルで支援するという側面もある。(日本大百科全書(ニッポニカ)