40日ファスティング経験者の本音!

ファスティング(断食)の素晴らしさやファスティングの正しい方法、効果などを紹介しています。

5年間のファスティング体験 02  ビールファスティングをするに至った理由  その2 

西欧の修道院は断食をする施設であり、

断食祈祷をする施設であることは西欧では常識なのです。

また、修道院には、皇帝やその使者が度々視察に来たり、

さらには大勢の聖地への巡礼者や物乞いたちが、

一夜の宿と食事を求めて訪れたりしたので、

次第に彼らをもてなすために大量のビールが造られるようになりました。

修道院では断食して祈り、神に聖別して身を捧げる施設であり、

しかも、修道士たちはすべて自給自足すであり、

病院、学校、孤児院などを運営する生活共同体でした。

その時代の痕跡は、西欧の修道院のいたるところに残っています。

たとえば9世紀頃にヨーロッパで大きな影響力を持っていた

ザンクト・ガレン修道院(注・01)の設計図をみると

聖堂を囲むように宿泊所や医療施設、薬草園、野菜畑、家畜小屋が配置されています。

ビール醸造の部屋は3つあり、それぞれの部屋で巡礼者、物乞いの施し用には、

やや薄いビール醸造を与えるための醸造所、修道士たちが

断食に飲むビールの醸造所、賓客のための高品質ビールの醸造所と

3つの醸造所が沸けられていました。

ビール醸造室の隣には、パンを造る部屋があります。

ビールもパンも、製造過程で酵母菌の作用が必要不可欠です。

この時代にまだ酵母菌の存在が発見されていないかったのですが、

この2つ(パンとビール)を近い場所で造ると失敗が減るという経験値から

そのようにしていました。

そこからも「ビールは飲むパン」といわれるのです。

そして修道院は、野菜とハーブの栽培にかけても群を抜く技術を蓄積していました。

その中から、味付けにホップを使うと上質なビールができることを発見したのです。

何と発見したのは、女子修道会でした。

そして修道院ビールは、院外の市民のつくる粗悪なビールではなく、

発酵と醸造の知識のある修道士たちが作るので

当然、高品質であることはいうまでもありません。

それが市民にも販売されるようになると大人気になり、

次第に高値で取り引きされるようになり、

修道院の貴重な収入源となっていくのです。

そうした修道院のビールの歴史をみますと修道院では

純粋に四旬節の受難断食から、

40日間を「飲むパン」である「ビール」を断食中、

形物はダメだけれども流動食はOKという教皇のお達しで、

堂々とビールが受難週に使われるようになっていきました。

このようにして欧州各地では、修道院でビールが醸造され、

今でも有名な修道院ビールがたくさんあります。

中でも有名なのは、「トラピスト・ビール」(注・02)です。

しかし、アルコール度数が高く、

私はアルコール度数の高いもので

ビールファスティングをしたいとは思いませんでしたので、

ノンアルコールを探し始めたのです。

 

(注・01)ザンクト・ガレン修道院

スイスのザンクト・ガレンにある中世以来の歴史を誇る修道院

現在の建物は18世紀に建造されたものであって中世修道院の面影はないが、

バロック建築の傑作として評価されている。

また、かつて何世紀にもわたり

ベネディクト会の中心的修道院のひとつであったこの修道院の付属図書館には、

数多くの写本や稀観書が収蔵されている。

この修道院と図書館は、1983年にユネスコ世界遺産に登録された。

 

(注・02)トラピスト・ビール

修道院内に醸造所を持つ、トラピスト会の修道院でのみ造られるビールで、

この呼称(Authentic Trappist Products)を使うことを許されているのは

世界にわずか11ヶ所のみ。そのうち5ヵ所がベルギーにあります。

(2021年1月現在)1997年より、トラピストという呼称を守るために

「Authentic Trappist Products」という独自のロゴマークを使用しています。

トラピスト・ビールとはビールの分類名ではありませんが、

いずれの修道院も他のビールのお手本になるようなすばらしいビールを造っています。

ザンクト・ガレン修道院