健康リスクマネジメント 100 病気の方程式 91 身近な感染症 11 内なる脅威ウイルス 09 02 「新型コロナウイルス」とどう「付き合って」いくべきか 01
「接触する新型コロナウイルスを100分の1に減らせ」を提言された
京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授のことが
「Abema TIMES」4/21を昨日まで2回に分けましたが、
3/30「表現者クライティオン」で対談しておられる宮沢さんの文章も参考になります。
これから長い戦いになる新型コロナウイルスとの戦いとなり、
どのように付き合うのか、参考になります。
あくまで前半部分で後半はこの雑誌で読まなければならないようですが、
前半だけでも参考になります。
この記事は、『表現者クライテリオン』5月号に掲載される対談の前半部を、先行配信するものです。全文は、本誌でお読みください!(以下のリンクから予約受付中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B085RT6Q27/
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「パンデミック」(世界的大流行)が宣言された新型コロナウイルス。
かくなる上は好むと好まざるとにかかわらず、我々はこの未知なるウイルスと、
「付き合って」いかざるを得ない。
ならば、このウイルスを「正しく」恐れねばならない。
医療崩壊を避けながら、その被害を最小限に食い止める取り組みとは?
新型コロナウイルスによる死者は
スペイン風邪に及ばない可能性が高い
藤井 今日はよろしくお願いいたします。
宮沢先生は、京都大学のウイルス・再生医科学研究所で、
ウイルスについて専門にご研究されている准教授の先生です(http://www.kyoto-u.ac.jp/explore/professor/08_miyazawa.html)。
本日は是非、今、世界中で問題になっている新型コロナウイルスについての
お話をお伺いしたいと思い、参上いたしました。
宮沢先生は、当方がユニット長を務めますレジリエンス実践ユニットで
『リスク・マネジメントに基づく「新型コロナウイルス対策」の提案』(http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2020/03/corona_riskmanagement.pdf)
をまとめた際にも、様々にアドヴァイスいただきましたが、
今日は、一般の方に、このウイルスの特性、
とりわけ危険性について分かっていることや、こうしたウイルスとの付き合い方について、
ご専門のお立場からのお話を伺いたいと思っております。
今日はどうぞ、よろしくお願いします。
宮沢 はい、よろしくお願いします。僕はウイルス学については研究歴は三十三年で、
英文の論文は二百報ほど出していますが、まず、新型コロナウイルス、
季節性インフルエンザより高いといわれていますよね。
ただし過去に、大昔に流行したインフルエンザである「スペイン風邪」に比べると断然低い。
ただ当時の状況というのは今とは医療体制が全然違いますので
単純には比較できないんですけれども、それを差し引いても、
スペイン風邪には匹敵しません。
アメリカの著名なシンクタンクである「ブルッキングス研究所」では、
最善のシナリオで約1500万人が、
最悪のシナリオでは6800万人死亡するという予測をしているところもあるんですけれども、
ダイヤモンド・プリンセス号での事例や、中国の武漢市の感染状況を見ると、
あるいは韓国の現在の様子を見る限りそうはならないだろうと思っています。
最大どの程度の被害が出るかということについては
現段階では全く分からない状況なんですけれども、一つの目安として、
武漢市のある湖北省のことを考えたらいいのではないかと思っていて、
湖北省では感染爆発が起きてしまって医療体制が崩壊した。
それで非常にまずい状況になったわけなんですけれども、
その状況下においてもいま、陽性者(新規感染者)はどんどん減っている。
それから死亡者は徐々に減っているけれども完全に頭打ちになっているといことで、
おそらく最終的には湖北省全体をとってみても死者は4000人には届かないだろうと。
そうすると湖北省の人口は5600万人程ですので、
日本に直すと(日本の人口で換算すると)大体マックスで死者が8000人。
日本全体が医療崩壊にならなければ湖北省よりもひどい事態にはならないと
私は個人的に思うのですが、それを考えれば、
日本でも最大8000人程度、日本の医療体制を考えれば、
実際の値は数千人程度じゃないかと予想しています。
藤井 確かにアジアでは、中国だけじゃなくて韓国も収束してきていますね。
ただ、人口6000万人で死者数が6000人を超えた(3月25日時点)イタリアのような
拡大が日本でも起こると、一万人を超えるリスクもあり得る、ということでしょうか。