40日ファスティング経験者の本音!

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武士道が生まれた背景  42 李登輝の武士道解題 20 第16章・武士道はなお生きられるか

わが国における驚くべき西洋文化の進入は、

わが古来の教訓のあらゆる痕跡を、すでに拭い去っていまったのであろうか。

一国民の魂が、もしそのように早く死滅するならば、はなはだ悲しいことである。

そのように外来の感化によって屈服するようでは、

それは貧弱な魂にほかならない。

・・武士道が、わが国民、とくに武士に刻み付けた性格は、

「その種族にとって欠かせない要素」を形成しているとは言えないが、

その活力をもっていることは疑いない。

仮に武士道がたんなる物理的な力に過ぎなかったしても、

過去700年の間に蓄積されたエネルギーは、

急に停止させようと思ってもできるものではない。

また、武士道がたんに遺伝のみによってけいしょうされてきたとしても、

その影響は広大な範囲に及んでいるに違ない。

‥新日本の最も輝かしい先駆者の一人である吉田松陰が、

刑に処せられる前夜に詠んだ歌は、日本民族の逸話ざる告白であった。

 

かくすればかくなるものと知りながら

やむにやまれぬ大和魂

 

武士道は形式こそ備えていなかったが、わが国の活動の精神であったし、

また推進力でもあった。そして現在でもそうである。

アメリカ詩人ランサム氏は

「今、三つの別々の日本が相並んで存在している。

旧日本は今だ全く死滅せず、新日本はその精神においてようやく誕生したにすぎず、

過度的日本は、現在、最も危機的な試練を経験している」と言ったが、

この説は多くの点、とくにわが国の具体的な諸制度に関していえば、

確かに適切だと言える。

が、これを根本的な道徳観念に応用するときは、

多少の修正を加えなければならない。

なぜならば、旧日本の建設者であり、またそこから生み出された武士道は、

今でも過度期的日本を指導する原理であり、

さらに新時代の日本を形成していく力があるからである。

王政復興の暴風雨の真っただ中をわが国のかじ取りをしてきた指導者たちは、

武士道以外に道徳的な教訓を知らない人たちであった。

・・新日本建設ではキリスト教宣教師がわが国の教育、とくに道徳教育においては、

大いに力を尽くしていると信じている。

しかし聖霊の活動は確実ではあるが、いまだ神秘的であって、

神聖な秘密の中に隠されている。

つまり今までのところ、キリスト教伝道が新日本の性格を形成するうえで貢献した点は

ほとんどみられない。

いや、善かれ悪しかれ、われわれ刺激し、動かしてきたものは、

純粋で単純な武士道そのものであった。

新日本の建設者であった

佐久間象山西郷隆盛大久保利通、木戸孝充らの電気をひもといてみよう。

さらに伊藤博文大隈重信板垣退助など現在の回顧談はいうまでもない。

彼らの思想および行動は、武士道の刺激の下に養われたことを知るであろう。

日本の変動の大変貌は、武士道にすべてある。

 

【解説】

明治の原動力は、日本に入ってきた宣教師たちの力はなにもないと

言い切った大胆な発言は、新渡戸の真骨頂です。

日本への宣教の失敗は明治だけではなく、

74年前のマッカーサーの宣教師派遣でも同じ失敗をしています。

日本教の凄さを知っていないがゆえの大失敗です。