武士道が生まれた背景 27 李登輝の武士道解題 05 第1章・道徳体系としての武士道
いよいよ李登輝の「武士道解題」を紹介します。
毎回、1章ずつ紹介しますので重要なところだけのポイントと解説というパターンで
全17章(=17日間、11月12日まで)連載していきます。
そしてサムライ・ファスティングの神髄に迫っていきたいと思います。
【武士道第一章】翻訳者は須知徳平さん(講談社発行)
武士道は、日本を表徴する桜の花と同じようにわが国土の国有の花である。
その花は、ひからびた古代道徳の標本となって、
わが国の歴史の中に保存されているというわけではない。
それは現在でもなお、その力と美をもって、わが民族の心の中に生き続けている。
武士道は明白な形態はとらないが、それにもかかわらず、
その道徳的雰囲気の香りは、今なお我々に力強い感化をあたえている。
武士道を生み育てた社会状態は、すでに消え失せてしまった。
しかし、はるかな過去には存在し、現在ではその本体を失った星が、
今でもなおわれわれの頭上に光り輝いているように、
封建時代の子として生まれた武士道は、
その母である制度が滅び去ってしまってもなお生き残り、
われわれの道徳を照らしているのである。
【李登輝の解題要旨】
徳川時代の終わりは武士道の終わりでしたが、キリスト教を受け入れ、
徳川時代で終わった特権階級の封建的武士道の世界ではなく、
精神的で、かつ理想的な生き方を追求する道徳的規範の武士道を再発見して、
世界に「武士道」を伝えてくれました。
明治維新とともの消滅したはじの武士道が新渡戸でよみがえったのです。
20世紀の始まりに書かれたこの書は、「今でもなおわれわれの頭上に光り輝いている」のです。
【解説】
現在の日本で「武士道」といえば普通は、
「それは何なに、私たちに関係あるの」となることは間違いありません。
たとえば断食とかファスティングを聞いたことがないという人がまだまだ多くいます。
その人たちにとって、食べない生活など考えられないと思うことと同様です。
しかし、日本人として真剣に欧米を相手に
ビジネスでも思想でも技術力でも戦おうとすれば日本人の精神的支柱はどこにあるか、
真剣に考えるようになります。それに答えを出してくれるのが、「武士道」なのです。
6年前に日本人を熱狂させたテレビドラマ「半沢直樹」は
まさに武士道に生きた物語だったから平成時代で最高の視聴率を上げたのです。
日本には新渡戸がいうように「今でもなおわれわれの頭上に光り輝いている」のです。