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武士道が生まれた背景  28 李登輝の武士道解題 06 第2章・武士道の淵源

新渡戸がキリスト教原理主義的なコテコテの凝り固まった一宗教の信仰者ではなく、

儒教、仏教、神道などあらゆる日本に定着している宗教や思想を自由闊達に引用して

道徳体系としての武士道を解き明かしています。

このような広い心が世界の人々に共感と感動を与えたのです。

日本の明治時代、近代的なキリスト教のパイオニア的な信仰者や伝道者のほとんどが

「武士」の血を引いたものたちであった、という事実です。

そして当然なことですが、キリスト教に回心するまでの彼らの道徳体系には

ほとんどの場合、儒教がありました。

ヨーロッパには「メメント・モリ=たえず死を想え」が17世紀に確立し、

人生は一回限り、その死の行く先は天国、このような死生観は、生で愛を尽くして、

一生を捧げる人生。しかも個人ではなく、

公に何か尽くすことによって救われるというゲーテの「ファスト」な生き方が

ヨーロッパの死生観の根本であり、キリスト教の精神です。

ところが儒教は死生観が明確ではありません。

現実的な道徳に基づく善悪を中心とした道徳です。

ですから死生観がはっきりせず、儒教においては

人間個々の生きる意義とそこにたてられた道徳の間にすれが出てきます。

内村鑑三新渡戸稲造がクリスチャンになったのは

儒教における死生観不在のためではないかと思います。

そこでまず仏教が与えた影響から書き始めています。

 

・・・武士道の淵源をたずねるにあたって、私はまず、仏教から始めようと思う。

仏教は(常に心を安んじて)すべてを運命に任せるという平常の感覚を武士道に与えた。

避けることのができない運命に対しては冷静に服従するという、

危険や災難に直面したときのストイック的な落ち着きと、生を軽んじて死に親しむ心を与えてきた。・・・

 

新渡戸は仏教、禅、神道を経て、陽明学をかなり時間をかけて説明していきます。

 

 

【解説】

李登輝の「武士道解題」はかなりのスペースで武士道の淵源を説明しています。

これを読み進めると李登輝が日本の思想をかなり幅広くしておられ、その学識に驚きます。

私はコテコテのキリスト教は嫌いです。

いわゆる原理主義キリスト教です。

しかし、ユダヤ教から派生しているキリスト教ですから、十戒など守るべきものは守りつつ、

日本宣教で欧米の宣教師たちが、日本の根底にある武士道を否定したことが、

明治以降から今日までの宣教の大失敗となったのです。

さすが李登輝の「武士道解題」ではそこを踏まえておられるので感心します。

サムライ精神を知らずして、日本宣教の拡大はありません。