武士道が生まれた背景 23 私の中の武士道 02 内村鑑三の「代表的日本人」は武士の生き方を世界に紹介した日本最初の本
李登輝の「武士道解題」を連載していますが、
少し息抜きで私の中の武士道を少し書いてから
本題の李登輝・「武士道解題」の第二部に入っていきます。
NHKから名著50に選ばれた「代表的日本人」の紹介文には、
・・・日本が欧米列強に肩を並べようと近代化に邁進していた明治時代。
日本の精神性の深さを世界に知らしめようと、英語で出版された名著があります。
内村鑑三著「代表的日本人」。
歴史上の人物の生き方を通して書かれた日本人論です。
「武士道」「茶の本」と並んで、三大日本人論の一冊に数えられています。
著者の内村鑑三(1861-1930)は、宗教家、思想家として聖書研究を行い、
既存のキリスト教派によらない「無教会主義」を唱えた人物。
当時の日本は、鎖国を解いてからわずか50年ほどで日清・日露戦争を勝ち抜き、
世界から注目を集めていました。
しかし、まだまだ偏見が根強く「盲目的な忠誠心」「極端な愛国心」が
特徴の民族との一面的な捉え方がなされており、
内村は、真の日本人の精神性を海外に伝える必要性を痛感していました。
そこで、内村は、欧米人にもわかりやすいよう、
聖書の言葉を引用したり、西洋の歴史上の人物を引き合いに出したりしながら、
日本人の精神のありようを生き生きと描き出したのです。
しかし、この著書は単なる海外向けの日本人論であるにとどまりません。
取り上げた日本人たちの生き方の中に
「人間を超えた超越的なものへのまなざし」「人生のゆるぎない座標軸の源」を見出し、
日本に、キリスト教文明に勝るとも劣らない深い精神性が存在することを証だてました。
さらには、西洋文明の根底的な批判や、
それを安易に取り入れて本来のよさを失いつつある近代日本への警告も各所に込められています。
この本は、単なる人物伝ではなく、
哲学、文明論のようなスケールの大きな洞察がなされた著作でもあるのです。・・・
NHKがいみじくも伝えていますように「盲目的な忠誠心」「極端な愛国心」が巻き起こり、
内村は、真の日本人の精神性を海外に伝える必要性を痛感していたのです。
今日の日本の「日本会議」のメンバー、特に櫻井よし子の論調を読めばわかるように
世界史的視点がまったく欠如しています。
そして「日本会議」のメンバーが滋賀県内にもたくさんいますが、
選挙などでその論調を読むと、まったく真の愛国には程遠く、韓国などへの感情的反発、
そしてこのメンバーに欠けているのは内村鑑三や新渡戸稲造が伝えようとした
武士道や愛国心とは月とすっぽんの差があることです。