健康リスクマネジメント 287 コロナワクチンの実態 08 コロナウイルとは何か 08 なぜコロナウイルスの感染メカニズム 05 恐ろしいサイトカインストーム
「基礎疾患のない健康な子どもの重症化は、
おそらくほかの子どもたちよりも
ウイルスに対する過剰な炎症反応がかかわっている可能性があります。
そのような遺伝的素因をもちあわせているのかもしれません」と、
ニューヨーク州ハイドパークのコーエン医療センターで小児感染症を専門とする
ローリー・ルービン博士は推測する。
実際、サイトカインストームとして知られる危険な免疫過剰反応が、
かつて多くのSARS患者の死を引き起こした。
これは若いCOVID-19患者の死亡例にも関与していると考えられている。
5)免疫システムの暴走「サイトカインストーム」は、なぜ起きる?
COVID-19の発症から治癒には、奇妙なパターンがある。
まず患者は最初の1週間ほど、かぜの症状、
ひどい人ならインフルエンザのような症状を経験する。
そしてだいたい7日目には、これらの患者は少しだけ
症状がマシになったと感じるようだ。
ところが、軽症と重症化の明暗が分かれるのが7~10日目である。
軽症の患者はそのまま快方に向かうが、
重症化する患者は少しだけ気分がよくなったあと、突然悪化する。
サイトカインストームが起きるのだ。
サイトカインとは、わたしたちの免疫システムが病原体と
戦う際に放出されるたんぱく質のことで、
細胞が病原体から攻撃を受けるとサイトカインシグナルを出して
免疫細胞を呼び出す。
ところが、このサイトカインはときに1カ所で過剰に活性化され、
制御できないレヴェルのサイトカインが嵐のように放出されることがあるという。
これを「サイトカインストーム」と呼ぶ。
COVID-19の重症化は、ウイルス自身が原因というわけではない。
自己免疫によるサイトカインストームが
肺をはじめとした複数の臓器で炎症を引き起こし、
患者自身を死に至らしめると考えられている。
免疫システムの暴走や、酸素不足と広範囲に及ぶ炎症は、
腎臓、肝臓、心臓、脳、その他の臓器にもダメージを与えるのだ。
いまのところ、COVID-19は重症化する可能性がSARSよりも低いが、
重症化の過程はよく似ているという。
このため持病のない健康な若者が、
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で亡くなる理由は、
自身の免疫攻撃によるサイトカインストームの結果で生じることが多いと考えられている。
6)重症化を経験した患者の予後はどうなる?
新型コロナウイルスはまったく新しい病原体であることから、
免疫をもつ人がほぼゼロだった。このためこのウイルスは災害のように、
地球上の人間すべてに等しく感染する。
ここでまとめられたような偏りがあることが明らかになってきた。
いまだに不明な点は、重症化によってダメージを受けた臓器は
いずれ完全に回復するのか、という点だろう。
若くて健康だった人々も、
重度の肺炎に加えてほかの臓器の炎症を経験したあとには、
何らかの障害が残らないとも限らない。
例えば、軽症でも肺をはじめとした臓器に何らかの炎症があったアスリートたちは、
100パーセントの持久力や筋力を取り戻すことができるのだろうか。
肺炎で入院した人は、退院後の1年間は、
同年齢の対照群と比べて約4倍の心臓病リスクがあり、
その後の9年間はそれぞれ約1.5倍のリスクがあるとの研究もある。
COVID-19は、こういった問題の大幅な増加を促す可能性もあるのだ。