断食救人類の書 26 飽食の日本 24 肥満とがん01 乳がん
飽食の日本になって食べ過ぎの結果、最も増加したのはがんです。
これから食べ過ぎによる肥満から発生するとみられる10種類のがんを連載していきます。
食べ過ぎ、飽食から解放されるならば、
今回、リストアップしたがんのリスクは軽減され、
かつ改善されていくということになります。
第1回目は乳がんです。
日本で乳がんにかかる人は年間およそ9万人です。
女性がかかる全がんの中で最も多くなっています。
発症のピークは、閉経前後の時期である40~50代なのです。
発症リスクが高くなるといわれています。
ある大学の研究では、「妊娠初期には、
妊娠・出産回数が多いほど、乳がんの発症リスクは下がる」とありました。
また閉経後は、卵巣で作られるエストロゲンが大幅に減少し、
その代わり、わずかではあるが体内の脂肪組織で
エストロゲンが作られるようになります。
そのため、BMI(肥満指数)が25を超える肥満の女性の場合、
血液中の女性ホルモンが増加することで、
乳がんの発症リスクが高まってしまうのです。
閉経後は体脂肪のコントロールをすることが予防のカギです。
閉経後の肥満とがんについては、
国立がん研究センターは2014年に肥満と閉経状況別の乳がんの関連性について、
日本人を対象とした大規模な前向きコホート研究
(コホート研究:大規模な対象集団を設け、長期にわたって観察する研究)
をしています。
その研究結果がサイトでも公表されています。
その内容をまず見ていきたいと思います。
1・肥満リスク
今回の研究は、日本の8つのコホート研究における18万人以上のデータをあわせた
平均約12年の追跡期間中に乳がんになった1,783人について、
閉経前ではBMI最大群(30以上)でのリスクは基準値(23以上25未満)の2.25倍でした。
一方で、BMIが低いほど閉経後ではリスクも低いのに対し、
閉経前では基準グループと同程度のリスクでした。
逆に閉経前乳がんでは予防的であるという弱い関連が報告されています。
特に閉経前乳がんではどうなのかはよくわかっていませんでした。
研究の結果より、乳がん予防の観点からは痩せているほうがリスクが低いことが示されました。
しかし、痩せに至るような栄養不足は免疫力を弱めて感染症を引き起こしたり、
血管壁がもろくなり脳出血を起こしやすくすることも知られています。
国立がん研究センターが科学的根拠に基づいて提唱する「
日本人のためのがん予防法」では、
総合的な健康にも配慮し、中高年女性のBMIの目標値としては21以上25未満を推奨しています。
BMI 21の例:
身長160センチメートル、体重54キログラム
身長155センチメートル、体重50.5キログラム
BMI 25の例:
身長160センチメートル、体重64キログラム
身長155センチメートル、体重60.5キログラム
調査結果
閉経前乳がんでは、BMI30以上で基準の2.25倍のリスクを示しました。
乳がんには予防的となることが考えられています。
アジア人女性の場合は極端に太っている人が少なく、
予防的な効果がみられなかったのかもしれません。
また、欧米とアジアに多い乳がんのタイプの違いなどによるのかもしれません。
国立がん研究センターの貴重な研究から、体重管理が極めて重要だということが分かります。