健康リスクマネジメント 153 病気を予防する 39 予防医学の基本 28 酒の害 12 アルコールと認知症
アルコール依存症および大量飲酒者には脳萎縮が高い割合でみられること、
大量に飲酒したりアルコールを乱用した経験のある人では
大量の飲酒は認知症の危険性を高めることが示されています。
一方で少量ないし中等量の飲酒は認知症の原因にはならないのみならず、
認知症の予防になる可能性があります。
- アルコールの脳への影響について
以前から大量に飲酒する人には脳が小さくなる脳萎縮が
高い割合でみられることは知られていましたが、最近の調査によれば、
飲酒量と脳萎縮の程度には正の相関が見られることが報告されています。
すなわち飲酒量が増えるほど脳が萎縮するということです。
一方で飲酒による脳萎縮は断酒することによって改善することも知られています。
萎縮以外の影響としては、
アルコールが加齢による記憶・学習低下を促進することが動物実験では
証明されています。
- 大量飲酒と認知症について
施設に入所している認知症の高齢者の29%は
大量飲酒が原因の認知症と考えられたという調査結果があります。
また別の調査では、過去に5年間以上のアルコール乱用または
大量飲酒の経験のある高齢男性では、そのような経験のない男性と比べて
認知症の危険性が4.6倍、うつ病の危険性が3.7倍と報告されています。
このように大量の飲酒は、認知症の危険性を高めることが示されています。
- 少量ないし中等量の飲酒と認知症について
大量の飲酒は認知症の危険性を高める一方で、
少量の飲酒は認知症を予防する可能性が示されているということになります。
以上、アルコールと認知症について解説すると、
大量の飲酒は認知症の原因となりますが、
少量ないし中等量の飲酒は認知症の危険性には関係しない、
または予防する可能性があるということが示唆されています。
しかしご注意いただきたいのは、元々飲酒する習慣がない人が飲酒した場合に
認知症を予防するという証拠はどこにもないということです。
厚生労働省e-ヘルスネットから引用