断食救人類の書 261 少食は救国、救人類となる 47 生命への畏敬 04
医療の世界でも家畜飼育でも大量の抗生物質使用し、
農業は大量の農薬でその実態を小説にした
「複合汚染」(有吉佐和子の長編小説で1974年から朝日新聞で連載され、
その単行本はベストセラーとなります。
現在も環境問題を考える上でしばしば言及されるロングセラーで、
レイチェル・カーソン『沈黙の春』とともに名著です。
この中で有吉さんは、社会問題となっていた水俣病や
四日市ぜんそくの被害が個々の現象を単独として捉えるのではなく、
自然環境の破壊という大きな複合的な関連性を指摘したことが大きな問題提起となったのです。
この本を読んで有機農法に切り替える農民が出てきました。
この本では、環境汚染問題を多方面から問題にされたのですが
どのようなことだったかまとめてみますと、
1・農薬と化学肥料使用が農製品と生態系に与える悪影響、及び有機農業、共栄作物利用の試みの紹介。
2・界面活性剤を含む洗剤使用の人体及び生態系への悪影響。石鹸がより安全であること。
3・合成保存料、合成着色料など食品添加物使用の危険性。
4・自動車エンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物の危険性。
5・1~4の化学物質が生体濃縮で蓄積されていく過程。
6・化学肥料開発と火薬開発の並行性。化学合成技術の発達と戦争、軍需産業との連関。
有吉さんはすでに小説『恍惚の人』で著名でしたが、
それに続く「警世の書」として話題を集めましたが、
このテーマが化学、生物学など自然科学の専門的知見に関わる上、
行政やメーカー企業などの既得権益にも相当な揺さぶりをかけるものであったため、
小説連載が開始されるやいなや、
関連業界から多くの反発や批判の集中砲火を浴びせられることになりました。
有吉さん自身が、「この連載がうまくいったら罵詈雑言を受けるであろう」と
レイチェル・カーソンの例を引きながら書いておられますが、
「農薬使用の禁止は非現実的である」、
「洗剤や食品添加物使用の危険度の指摘は誇張である」といった
専門家からの反論など凄まじいものがあったのです。
有吉さんの警鐘にもかかわらず日本政府も企業も根本的な反省はせず、
さらに高度経済成長を走り続けていきます。
有吉さんは,現代の日本農業が化学肥料,農薬に依存してこと。
また食品加工での食品添加物にも相当な危険性があり,
これらの相乗効果によって予想を上回る大公害が発生しかねないことを警告しました。
個別の汚染物の規制はあるものの,
複合的な汚染における毒性の相乗効果については研究も環境規制値の設定もなく,
また極微量の汚染物の長期慢性毒性も解明されていないこともしてきましたが、
今もさらに巧妙かつ悪化しているのです。