健康リスクマネジメント 89 病気の方程式 80 人類の敵 12 感染症 07 新型コロナウイルスとは何か 03 新型コロナウイルスなど治療・予防
治療
風邪のような症状の場合には対症療法(熱や咳などの症状を抑える治療)を行いますが、
肺炎の場合は酸素投与、全身循環管理に加えて抗ウイルス薬の投与が奏効する場合があります。
特に重症な場合には、体外式膜式人工肺
(ECMO:人工肺とポンプで肺の代替を行う装置)を使用しなければならないこともあります。
抗ウイルス薬としては、抗HIV治療薬の一種である
“カレトラ®”や新型インフルエンザ用治療薬である“アビガン®”などの
臨床試験が行われています。
また、気管支喘息治療薬である
“シクレソニド”も新型コロナウイルスの活性を失わせることが確認されています。
なお、日本感染症学会は、
「50歳以上で酸素投与が必要な患者」・「基礎疾患があり酸素投与が必要な患者」・
「年齢にかかわらず呼吸状態が悪化傾向にある患者」に対して、
これらの試験的に使用されている抗ウイルス薬の適応を検討すべきとの見解を示しています。
予防
現在のところSARS-CoV2 は、ヒトからヒトへ感染することが分かっており、
主な感染経路は飛沫感染(咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸入)と
接触感染(感染者の飛散した唾液や痰などにより汚染された環境に触ることで感染)です。
医療の現場では、検査や処置の際にエアロゾルが発生することで空気感染
(空気中にいつまでも漂う形の病原体によって感染)
の可能性も指摘されています。
また、感染してから症状が現れるまでの期間は3~5日(最大14日)とされており、
それまでの間でも感染を広げる可能性も示唆されています。
さらに、新型コロナウイルスは感染したとしても症状が出ないケースが
多いことも分かっており、
無症状病原体保有者も症状がある感染者と
同程度のウイルスを持つとの報告もなされています。
そのため、気付かないうちに周囲に感染を拡げているケースも多々あると考えられています。
マスクの着用が有効です。
現在、感染予防のため“マスクの買い占め”が世界的に問題となっていますが、
WHOや厚生労働省の見解によれば、
医療従事者など発症者と密な接触をする場合は飛沫感染対策として、
また咳などの呼吸器症状がある人が着用することは咳エチケットとして、
その有用性が認められています。
一方で、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、
症状がない場合でも外出時はマスクやスカーフなどで
鼻と口を覆うよう新たに推奨しており、
感染予防についてもさらなる解明が進められているところです。
現在(2020年4月6日)は、
全国で換気の悪い閉鎖空間における接触感染と思われる事例が散発しており、
政府が国内発生早期として、
不要不急の外出の自粛や流行地の学校休校が要請している状況です。